中上健次の出世作である「岬」の世界は、土俗的な湿り気に満ちている。その湿り気が作中に充満する「情緒」の派生的な効果であることは論を俟たない。中上健次が「岬」において描き出す光景は、或る一族の閉鎖的な側面であり、その描写が及ぶ領域は極めて限…
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