サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2017-08-14から1日間の記事一覧

詩作 「ホテル」

雨が上がった後の 夜の駅前は 艶やかな光に満ちている 無数のタクシーが列を作り 夥しい数の人間が 好き勝手な方向へ歩いている 私たちは 手をつないで 光の隙間を狙って 忍び足で進んでいく 知り合いにみつかったら 気まずいからね 西船橋の夜は騒がしい だ…

詩作 「新世界より」

壊れものをあつかうように 優しく指先に神経をそそいで 大事に守って 今日まで辛うじて 綱渡りには失敗せずに 来たつもりでした けれど やはり運命には逆らえないのでしょうか 掌中の珠 という表現があります そうやって大切に慈しんだとしても FRAGILEとい…

詩作 「削除しますか」

削除しますか(はい・いいえ) 躊躇は あなたを不幸にしますよ 過去は過去 あなたはいつまでも思い出を大事に抱きしめて その香りに顔を埋めているけれど 過去は過去 過ぎ去ったものたちは すでに命をもたない 振り返ることは あなたを不幸にしますよ 履歴を…

詩作 「勿忘草の歌」

若草の萌える平原 緩やかに流れる風の音 私たちは絶えず この大地と共に暮らしてきた この草原を渡る風の歌と共に 私たちの喜怒哀楽は 記憶の箱舟として 川面を漂いつづける 手をつないで 私たちは多くの街角を歩いた すべての街路には 思い出があり なにか…

詩作 「カッターナイフ」

それは無駄な 悪あがきというやつで 私はいつまでも 携帯が青く光るのを 唇をかんで待っている 鳴らない電話に 不意に光りと音が よみがえるのを 私は平凡な生活の 様々な場面で待っている あきらめられない魂が この胸の奥に いつまでも熱い光りをたたえて…