サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

マンガ・アニメーション

「恋愛」の危険で純粋な形象 新海誠監督「君の名は。」をめぐる断想

幕張新都心のイオンシネマで、今更ながら「君の名は。」(新海誠監督)を観賞してきた。実に印象深く心に残った作品であったので、今更ながら感想を書き留めておきたい。 この作品は日本のみならず、国境を飛び越えて海外でも幅広く公開され、好評を博してい…

現実と幻想の抽象的接合 「千と千尋の神隠し」をめぐる断想

金曜ロードショーで、久々に宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」を再見する機会に恵まれた。改めて見直してみても、やはり「傑作だ」という素朴な感嘆と新鮮な興奮が生まれ、既に知り尽くしている筈の筋書きや一つ一つの場面さえ、少しも退屈な印象を齎さずに…

「わたし」を隔てる境界線 細田守「おおかみこどもの雨と雪」

今日、久し振りに細田守監督の「おおかみこどもの雨と雪」という長篇アニメーションを途中まで見返した。封切りの時に劇場で鑑賞して以来なので、概ね四年振りだろうか。相変わらず、感想は変わらない。紛れもない傑作で、非常に美しいアニメーション作品だ…

成長の拒否ではなく、無効化 ゆうきまさみ「究極超人あ~る」

ゆうきまさみの傑作「究極超人あ~る」は、学園を舞台に据えたコメディであり、その意味では有り触れた類型の一部として回収されてしまうかもしれない。実際、この作品に詰め込まれている種々のマニアックな細部やユーモアは、爆笑に次ぐ爆笑を呼び覚ます為…

少年は己の半身と対決する ル=グウィン「ゲド戦記」

アメリカの作家アーシュラ・K・ル=グウィンの「ゲド戦記」第一巻「影との戦い」のハードカバーを図書館で借りて読んだのが、幾つの時だったかはもう覚えていない。小学生時代の私は図書館へ通うのが日課のようなもので、ゲド戦記を手に取ったのは恐らく、…

海を走る電車

宮崎駿の「千と千尋の神隠し」に、千尋とカオナシが電車に乗って、海の上を渡っていくシーンがある。「風の帰る場所」(文春ジブリ文庫)という本の中で、宮崎駿はこのシーンのことを「作品の山場」と呼んでいるが、実際あれは物語の重要な転換点になってい…

豚のダンディズム、アドリア海の静寂

宮崎駿のインタビューを集めた「風の帰る場所」(文春ジブリ文庫)を読んでいたら、「紅の豚」に関するインタビューがあり、あの作品の中で描かれていた景色の断片が眼裏へ甦ってきた。 小さい頃から「ナウシカ」やら「ラピュタ」やら「トトロ」やらを繰り返…

「ドラえもん」の不気味な側面

現代に暮らす日本人の大半は「ドラえもん」を知っている。これは普通に考えて恐るべき真実だ。少子化が進み、出生率が低下の一途を辿り続けているとはいえ、日本列島には一億人を超える日本語話者が存在しており、その一億人以上の日本語話者の大半が知って…

基礎教養としての「ジブリ」映画

私が小さい頃、時代は未だVHSのビデオテープが全盛期で、DVDやBDは片鱗すら見当たらなかった。母親が二人の息子の為にせっせとダビング(この言葉も、今では余り耳にしない)してくれた様々なアニメーションが、幼少期の私にとっては大切な「教養」であった…

「森」の論理と「ヒト」の論理 宮崎駿「もののけ姫」

どうも皆様こんにちは。サラダ坊主です。 日本が誇るアニメーションクリエーターとして国際的な知名度を持つ宮崎駿氏が「風立ちぬ」を最後に現役を退いてから、早くも2年以上の月日が流れました。 「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」という牧歌的な作品…

「絵」で「物語」を表現するということ 井上雄彦「スラムダンク」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今夜は言わずと知れた国民的大ヒットマンガ「スラムダンク」(累計売上部数は国内のみでも1億2000万部を優に突破しています)について書きます。 既に無数の読者が熱い思いをこめて、この作品に言及しておられると…

「過去の罪悪」は乗り超えられるのか 和月伸宏「るろうに剣心」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今日は言わずと知れた傑作マンガ「るろうに剣心」について書きます。 幕末から明治初頭にかけての日本を舞台にした剣豪チャンバラマンガで、未だに根強い支持を受けている作品です。この作品はいかにも少年マンガ的な格…

「世界」ではなく「社会」のために戦え ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今日は私が最も愛するマンガと言っても過言ではない、ゆうきまさみの「機動警察パトレイバー」について語りたいと思います。 この作品はメディアミックスの先駆け的な作品で、マンガ、テレビアニメ、OVA、劇場版アニ…

「彼氏彼女の事情」についての補足

寝ぼけまなこのサラダ坊主です。 先ほどアップした「彼氏彼女の事情」について、途中までしか読んでいない理由を書きそびれたので補足します。 この作品は、男性の主人公である有馬総一郎が、親から受けた虐待の記憶から解き放たれることで、物語の一つのピ…

世界は「コトバ」と「ココロ」で出来ている。 津田雅美「彼氏彼女の事情」について

どうもこんばんは、サラダ坊主です。一日の労働を終えた後の束の間の休息の時間を使って、今夜も更新させていただこうと思います。 昨日は「自分の好きなものについて書く」という趣旨の下に、少し古臭いテーマではありましたが「坂口安吾」を取り上げました…

「バケモノの子」は本当にバケモノだったのか(中途半端なパラレルワールド構成)

どうもサラダ坊主です。 めっきり涼しくなってきて、夏の断末魔のような蝉の声ももうすぐ衰えていくと思うと、嬉しいですね。ええ、夏には何の恩も義理もありません。一刻も早く過ぎ去ればいいのにと思うばかりの、晩夏の午下がり。 ブログ開設時に「映画」…