サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「あなたが」

あなたが遠くを眺めるとき

青い焔のような海が揺れる

あなたが瞼を閉ざすとき

紅い夕闇が静かに迫る

 

あなたが声を立てて笑うとき

強張っていた世界が溶ける

あなたが怒りに身を任すとき

張り巡らされた嘘が 焼け落ちる

 

あなたが眠れぬ夜を過ごすとき

わたしは哀しみに指先で触れる

あなたがそれを絶望と呼ぶとき

わたしは慰めの言葉に迷う

 

あなたが まだ傍にいた頃

日々は明るい歌に満ちた

あなたが優しく微笑むとき

頬を撫でる風は幸せに似ていた

 

あなたがこうしていなくなった後も

日々 この街を訪れる

黄昏の沈黙

背の高いビルが

百年前の墓標に見える

不意に

あなたの後ろ姿が

記憶の涯で 風に吹かれた