サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「すべて壊れてしまいました」

すべて壊れて

しまいました

嘗て確かにそこにあると信じられたものたち

ときを選ばず

息衝いていた様々な感情の雫が

知らぬ間に乾き切っていました

あなたの笑顔の写真が

ひび割れ 古びていきます

時の暴力に

わたしもあなたも逆らえない

 

時計の針が

ゆっくりと回る

逆向きに針を

回しても

夢と現実との

冷え切った関係が加速するだけ

さようならと

伝える間もなく

あなたの笑顔の写真さえ

あなたを巡る思い出さえ

残らず壊れてしまいました

 

壊れないものが欲しい

壊れない夢を見たい

壊れないと嘗て信じられたものたち

その確信が

今では御伽噺のようです

 

不意にそっと肩越しに告げられた

全部何もかも束の間の夢でしたと

わたしは悪い夢から覚めたように振り返る

あなたの残した靴跡を辿って

壊れぬ世界に憧れている