サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「わかれる」

爪を立てて

引っ掻いたように

いつまでも消えない幾つかの傷

血の滲む

夕映えの空の下

わたしもあなたも暮れていく道の上に佇んでいました

影法師が長くのびていく

その音が聞こえそうで

耳を澄ましてみたら

あなたの心は

別れることしか望んでいなかった

 

さようならという

見慣れた丸文字と

耳慣れたセリフが

この夜だけは

奇妙に重たい

噛み合うことをやめた歯車が

耳障りな音を立てるのを

知っていながら

知らないと言い張って

意地を張って

知らぬ間に季節は幾度も巡り

感情は温度を下げ

この夜の帷に

流れ着いた

 

いつまでも止まぬ雨に似た悲しみ

梅雨空の薄曇りのように

わたしもあなたも霞んでいく坂の上で

ただ 繰り返す

ちからなく

さようならさようならさようなら

巡り逢わなければよかったですね

好きだと勘違いしなければよかったですね

さようならさようならさようなら

雨はいずれやみます

この夜も やがて明けるでしょう