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サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「刺青と口紅」

あなたの顔に

刺青を彫りたい

どう足掻いても

消えないように

洗っても擦っても

落ちないように

想いが

痣のようにいつまでも

残りつづけることを

願う針先

 

破れた皮膚の

裂け目のように

あなたの嘘を

彩る口紅

真実から

見捨てられた言葉で

駆け引きにおぼれていく

あいしてるにくんでるほれているうらんでる

心は濁っていく

もう引き返せないほどに深く

この心を

返してほしい

奪われた心を

爪を立てられた心を

 

刺青は

洗っても擦っても消えない

口紅のように

たやすく拭えてしまう

あなたの嘘とは違う

 

口紅のような言葉で愛を語るのはよしてくれ

わたしは刺青のような眼差しで見つめているのに

わたしは刺青のような感情に足もとをすくわれているのに

 

かつて見つめ合うことしか知らなかった

二つの瞳が

今はすれ違うことしか知らない

切り結べば

発火する

刺青と口紅は水と油だ

どこまで進んでも溶け合わぬままに

時間だけが過ぎていく

時間だけが闇の奥底に降り積もる

 

口紅が偽る愛

刺青が刻む記憶

何を言っても手遅れだと分かっているくせに

唇はふるえているのだ

辛うじて何かを告げるために

 

その口紅のように鮮やかな色あいで

あなたの頬に

眦に

項に

蹠に

刺青を彫りたい

前科のように

あなたの嘘は

あなたの咎になる

忘れさせない

空白にさせない

嘘は言わせない

この刺青のように

消えない過去を

描きつづける