サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「クランベリー」

懐かしい歌が

窓辺から聞こえる

古びたラジオ

手入れの行き届いた庭

わたしは目を覚ます

朝が来る

幸福な記憶を

手帳のようにめくる

 

本棚に囲まれた明るい部屋

そこでは静寂だけが暮らしている

時を刻む音に

名前も知らない鳥の声がまじる

わたしは歯を磨き

顔を洗う

朝が動き出し

夜が立ち去る

太陽がわたしを愛する

もういなくなった人間の話はよそう

甘い思い出は

苦い現実を

やわらかく抱きしめる

 

二度と

繰り返さないように

厳重に封じ込めた

声が

聞こえなくなるほど

遠くへ向かって

走る

靴底がすりへっていく

それでも未来は

わたしの首を

つかんで引き戻す

ほんとうの感情を

隠し立てしても

報われないよ

未来はささやき

わたしは苛立つ