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サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「世界の終わり」

地平線が

燃える

火柱を

あげるように

夕陽が没する

壮麗な音楽のように

世界が騒ぎだす

もうすぐ

なにもかも終わってしまうよ

なにもかも

更地に戻ってしまうよ

わたしたちは

一斉に

耳をふさいだ

聞きたくない音をすべて

拒んできたわたしたちの

罪なのでしょうか

夕陽はインクのように滲み

地平線は

エンドロールの終わった

映画館のように

闇へ融ける

 

青い夜明けは

まだ来ない

わたしたちを

廃墟に眠らせたまま

地平線は

咳払いさえ惜しんで

わたしたちを取り囲む

夜露に

濡れるわたしたちの

人形のようなカラダ

 

時計は回転を続ける

遠心力が

高まっていくせいで

わたしたちの記憶は

さまざまな色に

濁り

わかれていく

星図を片手に

旅立っていったあなたの靴音

蹠にかんじる

別れの嘆き

 

青い夜明けは

とうぶん来ない

わたしたちを

冷蔵庫に閉じこめたまま

低い翅音とともに

世界の切れ端が飛び交っている

ねえ

世界はほんとうに終わってしまうの

小さな子どもは素直に尋ねる

大人たちは誰もこたえられない

短い指を

懸命に握りしめて

子どもたちは口々に尋ねる

ねえ

世界はほんとうに終わってしまうの

お日様はもう昇らないの

お星様はもう光ってくれないの

大人たちは耐えられず目をそらす

大人たちはいつでもそうやって目をそらす

 

世界は終わろうとしている

かつて音も立てず

始まったときのように

海は泡立ち

空は紅に燃える

暇乞いの

言葉も告げず

世界は静かに身を横たえる

廃墟のなかに身を横たえる