サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

年の瀬雑感

 年末商戦の山場の一つ、クリスマス商戦が終わった。今年は金土日の三連休という曜日並びの効果で、私が配属されているような百貨店立地の店舗には多くの集客があり、特に24日のクリスマスイブは昨年と比べて、爆発的な売り上げの伸び方であった。

 毎日始発の電車に乗り、23時を過ぎてから家に帰り着く日々が続いたせいで、すっかり肉体が悲鳴を上げてしまった。生ハムやサーモンやカプレーゼなど、色とりどりの高価なサラダに加え、クリスマスならではのローストチキン、各種のオードブル、パエリアやローストビーフといった華々しい御馳走を売り捌く我々の商売にとって、クリスマスは年間で最大の「腕の見せ所」であり、命懸けで働くのが例年の慣習なのである。実際、クリスマスという言葉の響きには、異様な旋律が織り込まれているような気がする。尤も、それはクリスマスを一つのイベントとして愉しむ一般の方々にとっての「特別な響き」とは意味合いが異なる。私たちにとっては、それはいわば一つの「ジハード」(「聖戦」)なのだ。

 その戦いを終えた後、年末の大晦日と年明けの初売りへ続いていく戦線の、束の間の静寂、この袋小路のような落ち着いた休日の感触が、今の会社に入って以来の私のささやかな歓びである。戦いは未だ終わっていないが、最初の山場を乗り越えた安堵感で、後はどうにでもなると思えるのだ。こうやって遽しく過ごしている間に、軈て2016年は永久に立ち去り、新しい年の夜明けが街衢を覆い尽くすことになる。来年は、どんな一年になるのだろうか。何もかも手探りのまま、いつもこうやって、古い年は足早に暮れていくのである。