サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「しらない世界」

海原は

最果てをしらなかった

どこまで

突き進んでも

終着駅は見つからない

明け方まで

浜辺で火を焚いて

酒を浴びていた

車座の男たちも

不意に遠い眼差しで

夜空を見上げた

北極星

確かめるために

 

あなたの本心が

どの波間に揺れているのか

誰もしらない

必死にランタンをかざしても

見えないものは見えず

知りえないものは知りえない

船乗りたちは途方に暮れる

美しい残照は

海原を焦がす

桜が散り

楓が散るように

 

シリウス

ベテルギウス

アンタレス

星の名を

歌うように

数えあげて

船乗りたちは

寒い夜の海を走る

どこかに置き忘れた

思い出や

愛する女の

指環や

生きることの切なさや

あるいは

その裏側に潜む

一面の歓びを

さがして