サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「悪意」

黄昏の校庭に

人影は乏しい

見捨てられた景色

見捨てられた時間

そして

見捨てられた私へ

熱いシャワーのように

降りそそぐ悪意

 

カッターナイフは

スカートを切り裂く為のものではありません

絵の具は

ブラウスを汚す為のものではありません

携帯のカメラは

囚人に屈辱を与える為のものではありません

 

悪意が

噴き出す

血が傷口から

あふれるように

それに呼応して

私のなかの憎悪も

熱い血潮を

撒き散らすのだ

 

追い詰められる

囁かれる

根拠の不明確な噂

悪評

陰口

全方位からの攻撃

私は

世界の縁へ

爪先で立っているのだ

今にも落ちそうに

風がそよげば転がってしまいそうに

私の爪先は

限界まであまり遠くない場所にいる

飛び降りることを

私の意思であるかのように語らないで

私の翼は

世界の悪意が授けたもの

それは自殺ではありません、と神様が言う

それは明白に

一つの他殺事件なのです、人間よ

 

私の財布は

校庭の焼却炉で

火葬されました

持ち主の代わりに

持ち主に先立って

私の財布は処刑された

それゆえに

私のなかの憎しみは

北極星に届くほどの高みへ

しぜんと押し上げられていくのです

 

先生

早くしてください

このままでは

私の魂は

私のなかの憎しみを

抑えることができなくなります

貴方が無能で

ひからびた善意しか持っていないことは知っています

それでも

貴方にひとかけらの良心が残っているのなら

飼い犬のような瞳で

教頭に新しいコーヒーを淹れている場合ではないでしょう

先生

私は世界に裏切られて腐っていくのですか

それを私の魂に刻むことが

教育であるとうそぶくのですか

先生