サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「声が聴きたくて」

さびしいという言葉が

何故あるのか

さびしいという感情が

何故あるのか

ときに私たちは見失う

重力が

世界を地上に繋ぎとめるように

何かが私たちを

引き寄せあい

遠ざかることを禁じる

さびしさの痛みが

胸の奥をえぐるとき

私たちは世界から浮き上がり

月と星の昊へ近づいている

 

電話が鳴り

私の心臓は

そのコール音にあわせてふるえる

私は怯えているのだろうか

喪失の予感に

失われるという定めに

なぜ

失う前から

私たちは

懼れてしまうのだろう

時間という尺度に

依存しているせいで

私たちは日に日に

喪失の予感が重たくなるのを感じる

未来に関する計算が

多すぎるのだ

私たちは明日の奴隷のように

線路の先ばかり

みつめている

 

足りないものを求める

補えないものを欲しがる

存在しないものを夢見る

別れた恋人に焦がれる

私たちの

欲望は

いつまでも

矛盾だらけで

埒のあかない問題にばかり

首をつっこむのだ

得られないものが愛しい

得られないものだけが

私たちを誘う

口笛のように

軽やかに

執拗に