サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2018-05-29から1日間の記事一覧

機智と空想 三島由紀夫「永すぎた春」

三島由紀夫の『永すぎた春』(新潮文庫)を読了したので、感想を書き留めておく。 「金閣寺」や「禁色」の限界まで彫琢された硬質な文体の恐るべき威力に慣れた眼から眺めると、この「永すぎた春」という作品の文体は随分と砕けて弛緩しているように見える。…

人間は誰も首尾一貫した理窟を生きていない。

また思い浮かんだ漫然とした雑感の欠片のようなものを、静かに追い掛けて確かめていくような文章になるだろう。生きていれば、それが単調な日々であろうと激動の騒乱に満ちていようと、何かしら考えたり思い余ったりすることは自動的に浮かんでくるものであ…