サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2019-01-09から1日間の記事一覧

Cahier(「平成」の終焉・新年のささやかな抱負・寛容と排斥)

*平成最後の正月が来た。四月一日に新しい元号が公表され、五月一日に新しい天皇陛下の即位の礼が行われる。世の中には「平成最後の」という枕詞が濫れ返り、私自身も小売業の現場に身を置いているから、尻馬に便乗して「平成最後のクリスマス」などと叫ん…

箴言の螺鈿 三島由紀夫「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」

引き続き、三島由紀夫の自選短篇集である『花ざかりの森・憂国』(新潮文庫)を繙読している。 「花ざかりの森」に加えて、三島の遺した作品の中では最初期の部類に属する、この「中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃」という奇怪な表題の小品…

観念と抒情の茫漠たる萌芽 三島由紀夫「花ざかりの森」

三島由紀夫の畢生の大作である「豊饒の海」全巻を読み終えたので、今は同じ作者の短篇集を渉猟することに時日を費やしている。目下、繙読しているのは『花ざかりの森・憂国』(新潮文庫)に収められた小品たちである。 作者が十六歳の若さで書いた「花ざかり…