サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2019-09-09から1日間の記事一覧

詩作 「うわべ」

うわべを重んじないのは愚か者です 人間は表面で出来ています だから皆 スキンケアにあれほど必死なんでしょう 潤んだ瞳が 誠実な言葉を簡単に踏み越える夜だってあるでしょう その睫毛も眉毛も芸術的に加工されていますよね 表面は大切です テレビなんて表…

詩作 「船出」

纜が静かにほどかれる 知らぬ間に 東の空の縁を 白く染めていく今日のひかり 船の帆がもうすぐ風をとらえる 貴方の心をとらえるように 世界はずっと暗い静寂のなかで 時を数えるばかりで 私たちはいつもこうして 冷え切った夜の揺籃に抱かれて 息を殺すよう…

詩作 「愛じゃない」

子曰く 愛に非ず 心の継ぎ目の淋しさを モルタルにて埋めんと欲す 子曰く 愛に非ず 性の快楽の欠乏を 能う限り低予算にて満たさんと欲す 子曰く 愛に非ず 金銭の不足に伴う諸々の不満を 他力にて解消せんと欲す 仁義礼智忠信孝悌 人が求めるものの核心は愛 …

詩作 「すれちがい」

その言葉には 多彩な意味が織り込まれている プラスマイナス 刻一刻と入れ替わるオセロのような磁石 睦み合う二人のあいだで 徐々に腐蝕していく絆のことを すれちがいと呼ぶこともある 忌まわしい呪文のように 別れ話の終止符に添えられる言葉 すれちがいが…

詩作 「師走哀歌」

透明な暮らしのなかで 札束を計えるように 過ぎた時間を秤にのせる 身を切るような年の瀬の風が 私の魂に蓋をかぶせる 着信はもう待たない メールを待ち侘びるのも止めた なぜならそれは 愛することとは無関係だから 焦がれるように想うことは 愛することと…

詩作 「INFINITE」

声が嗄れていた 言葉にならない感情が 次から次へと 押し寄せるので 波打ち際に立つ二人の背中は揺らいでいる 陽炎のなかで果てていく恋心の 粗末な墓標 もう一度愛しあいたい だけど愛するという言葉の定義は保留のままで 幸せになれるか分からない だって…

詩作 「台風一過」

劇しいスコールのような 一夜の嵐のあとで 朝方の駅へ向かう道は 晴れた空におおわれていた あらゆるものが 洗いたてのような美しさで 輝いている 僕はその朝 駅で君に会った 久しぶりに会った 久しぶりだったので驚いた 雨は明け方に止んだらしい 荒ぶる風…

Cahier(台風・人災・不測)

*昨夜は酷い雨風の音でまともに眠れなかった。夜中に雨戸の揺れる音と吹き荒ぶ風の唸り声で眼を覚まし、一旦は寝入ったものの、明け方に台風が千葉市へ上陸して、騒音で再び揺り起こされた。今まで経験したことのない激越な暴風雨である。電車は軒並み運休…