サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2019-10-06から1日間の記事一覧

詩作 「ありふれた世界で」

こんなにも眩しく 輝くとは思ってもいなかった 世界の隙間から 幾つかの指が伸びる 音も立てずに 翅を震わせ あなたは蛍のように舞い散る 火花 赫い火花 こんなにも眩しく 光っている世界 眼差しが届かない 奥まった部屋の錠前 あなたの遺した手紙を無言で読…

詩作 「永春」

中学校の教室で あなたを見てから もう何年経つだろう 汚れた板張りの床 モップをすべらせながら あなたの飛ばした冗談に こころを掴まれたのはいつだろう 夏服のあなたは 白っぽいグラウンドにくっきりとした影を曳いて サッカーボールを追いかける 開いた…

詩作 「せんたくもの」

気温が上がらないので 洗濯物が乾かない じめじめと冷えているあなたのシャツ コーデュロイのズボン 麻のジャケット コットンの肌着 秋の穏やかな光 わたしは小さいころ 愚図な女の子だった あれから三十年近い月日が知らぬ間にながれた 靴音さえ聞こえぬ 忍…