三島由紀夫の短篇小説「頭文字」(『岬にての物語』新潮文庫)に就いて書く。 この簡素な物語の構造は、直ちに読者の脳裡へ「春の雪」の有名な悲恋を甦らせるだろう。尤も、松枝清顕の綾倉聡子に対する屈折した恋情に比べれば、朝倉季信と千原渥子の関係は遥…
引き続き、三島由紀夫に関する評論を渉猟している。今回は中条省平の『反=近代文学史』(中公文庫)に就いて書く。 中条氏は「三島由紀夫――〈外〉をめざす肉体」と題された本書の第七章において、三島由紀夫の文学に就いて論じている。 自己の不確かさに苦…
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