三島由紀夫の短篇小説「水音」(『岬にての物語』新潮文庫)に就いて書く。 煎じ詰めれば、この「水音」は「父殺し」を主題に据えた作品である。父親の謙造は、病床に臥せる娘の喜久子に対して性的な欲望を懐いており、喜久子と長兄の正一郎との兄妹愛は「恋…
三島由紀夫の短篇小説「志賀寺上人の恋」(『岬にての物語』新潮文庫)に就いて書く。 地上の現象的世界を超越した「彼岸」の領域を想定する思惟の形式は、洋の東西を問わず、人類の文明に幅広く瀰漫している。特に宗教の領域において「彼岸」の想定は殆ど普…
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