サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2020-05-21から1日間の記事一覧

ショーペンハウアー「幸福について」に関する覚書 6

十九世紀ドイツの哲学者アルトゥール・ショーペンハウアーの『幸福について』(光文社古典新訳文庫)に就いて書く。 詳しく言うと、私たちの実利的な現実生活は、激情につき動かされなければ、退屈で味気ないものだが、激情につき動かされると、たちまち苦痛…

芸術的実存の解析 三島由紀夫「旅の墓碑銘」 3

三島由紀夫の短篇小説「旅の墓碑銘」(『ラディゲの死』新潮文庫)に就いて書く。 この春の巴里、マロニエ、赤い軍帽、女たち、小鳥、テラスの椅子、雲、…… それらは自然の春ではなくて、大ぜいの人間が寄ってたかって作り上げた春であった。マロニエにしろ…