サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2020-06-23から1日間の記事一覧

「日常」という監獄 三島由紀夫「慈善」 1

三島由紀夫の短篇小説「慈善」(『鍵のかかる部屋』新潮文庫)に就いて書く。 ……かくてまた、三度三度の食事がはじまるのだった。露西亜の或る詩人が書いているように、「僕の前に無限につづく食事の連鎖を見るのは」たまらない。しかし戦争からかえってみる…

綺語の伽藍 三島由紀夫「祈りの日記」

三島由紀夫の短篇小説「祈りの日記」(『鍵のかかる部屋』新潮文庫)に就いて書く。 平仮名を潤沢に含んだ女性の一人称による語りは、同じく三島の最初期の作品である「みのもの月」にも共通する特徴的な様式である。フランスの心理小説の伝統と共に、三島の…