サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2020-07-11から1日間の記事一覧

「Hopeless Case」 15

衰燈舎は、新常盤橋に程近いビル街の一隅に、置き忘れた帽子のようにひっそりと間借りしていた。その仮寓の社屋は年季の入った汚れ物で、色褪せた混凝土の壁には年月と風雨の痕跡が色濃かった。椿は緊張した面持ちで、待ち合わせの時刻より一時間も早く、大…