サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

勤人十句

一  終電の 光を浴びる 瓶麦酒

二  昨夜から 下痢のとまらぬ 失業者

三  函入りの 娘が家を 出て十年

四  保険屋に 脅され屋根の 修理する

五  陰惨な 記憶と共に 夏の月

六  淋しいと 言われて肩を 叩かれて

七  作業着に 口紅ひとつ 闇ふたつ

八  落雷の 間際の駅に 折り返す

九  東京の 端に暮らして 君は死ぬ

十  持ち家の 夏の蛾が這う 磨り硝子