サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「声が嗄れるまで」

伸び上がった背中に

指先でそっと触れた

振り返る前に

慌てて考える言い訳

どんな答えも一枚めくれば

言い訳と劣情に濡れている

なんだよと向けられた瞳に

水たまりが映っている気がした

あふれんばかりの

哀しみが鏤められた水たまり

 

あなたは遠くへ

靴音も高らかに去っていく

追いかけるあたしの速度は

世界の変貌に間に合わない

逃げ遅れた獲物を

猟犬がつかまえる

真っ赤な牙で

急所をガブリ

 

愛しいなら抱いて

なぜ抱いてくれないの

この顫えるカラダの甘く潤った闇に

なぜ指先で乱暴に触れてくれないの

その疑問に答えない破戒僧の横顔

なんでなんでなんでもうあいしてくれないの

ねえいろんな言い訳を上手に使うのは止めて

嘘だって分かっちゃうから

嘘なんか言わないで

あなたに嘘を言わせることが

あたしの心をこんなにも深く切り裂くの

 

嘘ばかり絡まり合う

嘘ってこんなにもありふれている

ここにもあそこにも

自動販売機のように

何でも吐き出してみせる

その重なり合った優しい嘘の衝立に

あなたはどんな想いを隠しているの

答えられないのならそれでもいいの

だけどおねがい

不安にさせないで

もう傷つくのにはうんざりなの

だから

嘘をつくのはやめて

優しい嘘の向こう側に

本当の自分を片づけて涼しい顔をするのはやめて