サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「はぐれる」

闇が来る前に

いろいろと蓋をする

覗き込まれないように

人間は醜く

その空洞は

覗き込めば腐臭が匂う

古びた記憶をさぐりあうのはやめておこう

聖域に触れた指は

毒を浴びたように黒く枯れる

 

封蝋が乾いて

開けてはならない扉を隠す

光のあふれる街角に

こだまする思い出

息を殺して過去に訣別を告げる

君はもうこの場所にいない

だから安心して

今宵 眠れる

 

僕たちは色々な土地を巡る

記憶が風に跨ってついてくる

虹色の景色が網膜に染みる

拭いても消えないインクのように

そして僕たちは旅路の途中で

多くの出会いと別れを重ねる

孤独なんて絵空事

本当は孤独なんてどこにもありゃしないのさ

 

君の睫毛は風を浴びて顫える

少しずつ削られていく荒々しい感情

それが悪い訳ではないのだ

孤独は罪ではないのだ

淋しさが宿る小さな胸に

痩せた二の腕に

最高の接吻を捧げよう

 

朝が来て僕たちは荷物をまとめる

出発の時刻を告げる真新しい太陽

逃げ出せない世界では

旅立つことだけが正義だ

だから何も振り返らずに

遠くまで響く嘶きに拍手する

君の眠り足りない横顔が美しい

吐く息は凍える明け方の空気に触れて

白く燃える

そう しらじらと燃える