サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「手当たり次第」

手を伸ばして

当たるを幸い

女を口説く

そんなあいつに

君は見蕩れるのか

金歯がいくつもはまった虫歯野郎だ

相手にするだけ時間の無駄さ

キスする度に腐臭がするぜ

だけど君は聞いちゃいない

走り出したら止まらないんだ

そういうものだからしょうがない

好きになったら理窟は死ぬさ

 

脈打つ心臓のかきならす旋律に

踊らされて生きる君

声を限りに叫び立てる

どんな快楽も明日を約束することはない

どんな幸福も明日になれば白骨と化すに決まってる

君はそれを分かっちゃいない

 

だけど

始まっちゃったもんはしょうがない

物語は常に結末を急ぐ

良くも悪くもそれがルールだ

乗り遅れた船に手を振るな

その足で大地を蹴るんだ

狂ったあいつに血道を上げるのも

若き日のアルバムの頁数を稼ぐには丁度いい

 

終わりが見え隠れするからこそ愉しいんだ

綱渡りのようなスリルで

この橋が崩れ落ちるまえに渡り切るんだ

顫える蹠に感じる大地の鼓動

終わりが見えるからこそ愛しいんだ

音楽が鳴り止むまでの短い月日を

人は誰も馬のように駆け抜ける

爆発する脈拍に急かされ

人は誰も馬のように残された時間を駆け抜ける