サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「ひび割れて」

ひび割れた空に

白く伸びる飛行機雲

雲の割れ目に

指を這わせて

望遠レンズを

覗いたような恋をしよう

音を立てて

騒がしい街角で

青く澄み渡った夏空の下で

音楽が聞こえる

懐かしい歌

懐かしい夢

 

なかなか届かないものは

思い出 感情 あるいはその輪郭

切ないようだけれど

案外そうでもないかもしれない

ひび割れた声で君は夜通し歌っていた

夏の夜風が壁の向こうに吹き荒れて

騒がしい夕暮れの喧噪と

眩しい夜明けの

そのあわいで

 

劇しいにわか雨

路地裏の濡れた野良猫

君が かつて奏でようとした音楽の

その先に

大きく開けた真っ白な道

輝ける夏空の下

その最果て

その柔らかな響きと 怒り