サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「限りある者たち」

静けさの裏側にひそむ

いくつかの しょうのない罪

それを重ねて 裏返して 火を点けたのだ

君たちはまだ何も学ばず

それでも餓えることには熱心だ

先生は教卓の向こう側で

世界の落日をながめていた

わたしたちの小さな背中には

まるい肩胛骨が艶めいているばかりで

翼の生えるきざしも見えない

 

立ち上がれば

飛べるのだろうか

幾千年の闇の彼方までも

限りある いのち

限りある 死に顔

わたしたちの痩せたからだには

遠い昔の朝焼けの角笛がこだましているというのに

君たちはまだ何も学ばず

瓦礫のような世界の辺境で

溜息を結わえつけることにばかり熱心だ

先生はそのようにおっしゃる

わたしたちにはまだ分からない

知らないことが多すぎる世界の辺境で

壮大な落日に酔い痴れる資格すら持たない