サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「東雲の街衢」

その春の明け方に
ゆっくりと目醒めたものは
美しい羽根を伸ばして
闇の彼方へ
溶け入りつつあった
路面電車
夕暮れの路を行き交うように
私たちは暁の空を仰いだ
影法師の重なり合う交点に
なにを夢見ただろうか
私たちは頼りない一対の絵画のように
冷たい顔で
ポーカーに勤しむ

この切実な願いが
いつか届くならば良いのに
世界の最果ての庭で
潮汐発電所が眠られぬ夜を営んでいる
私たちの遭遇の記録
一夜限りの愛情のあとで
私たちの墓標の
形作られたあとで