「文体」に顕れる「思想」 江藤淳「作家は行動する」

私が江藤淳という評論家の名前を初めて知ったのは確か、中学三年生の頃に柄谷行人の「意味という病」という本を偶然父親の書棚から発掘して、恐る恐るページを捲り始めた頃であったと記憶している。それまで一度も聞いたことのなかった江藤淳という作家の書物を実際に手に取るまでには、更に数年の歳月が必要だった。大学…