詩作 「さよなら、渚」

潮風が遠くから 帆を立てて近づいてくる 砂浜に白く煙る複数形の記憶、男女 波打ち際の静かな日かげで 手を振りました けんめいに もう最後だし 夏は 急速に終わりを迎える 陽炎がアスファルトに揺れて 買ったばかりのアイスキャンディが 汗ばんで溶けて 水を浴びたティーシャツ 鳴いている複数形の蝉、潮騒 沖合に浮かぶ…