詩作 「除籍謄本」

去りぎわに 振り返る この世界には 知らぬ間に 手遅れになってしまうものが多すぎる 消印のついた古い葉書 あなたの名が書類から除かれる つないだ手が ほどかれるように 悲しみは 冷めていく この夕暮れ時 気がつけば あの頃の苦しみは 古井戸のように涸れている まぶしい嘘のように 共に暮らした日々の痕跡が色褪せる 雨…