サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

「日常」に就いて

終わりのない日常生活は、退屈と虚無の代名詞である。だが、同時に日常生活は、反復される静謐な幸福の完成された形態でもある。 日常を、例えばヒロイズムと対置して二元論的に相克させる論理が、必ずしも正鵠を射ていないことは端的な事実である。無限に平…

Cahier(内在性・外在性・parallax)

*物事は、外側から眺める場合と内側から見凝める場合とでは、全く見え方が異なるものである。それを単純に「客観=主観」という言葉で表現することが適切かどうかは知らない。ただ、一般的には物事を客観的な目線で捉えることの重要性が強調されがちである…

Cahier(常住・煩悩・一期一会)

*永遠を願うことは、人間の切なる祈りである。それが不可能な願いであることは、長い人類の歴史上で、無数の残酷な実例が悉く立証しているにも拘らず、未だにその願いが死滅する徴候は発見されていない。誰もが不可能であることを予感しながら、切実な感情…

Cahier(「永遠」と「所有」の生理学)

*「所有」という観念は常に、もう一つの重要で根源的な理念、即ち「永遠」という観念との間に密接な関係性を有している。永遠を願うとき、人は特定の状況、特定の事象、特定の関係が、最も望ましい瞬間の状態で未来永劫、固定的に維持されることを劇しく希…

Cahier(所有の心理的側面)

*何かを所有するということ、それは随分と有り触れた、在り来たりの事態のように感じられるけれども、その仕組みは、考えてみれば随分と曖昧模糊としている。私が何かを所有するとき、その権利はどのような仕組みや約束事の上に成り立っているのだろうか。…

Cahier(情念という怪物)

*感情というものは、非常に厄介な代物で、一種の寄生虫のような性質を持っている。宿主の意思とは裏腹に、それ自体の独特の原理に従って勝手に動き回り、理性の命令に容易く反抗し、直ぐに逃げ道を探し当てようと悪足掻きを繰り返す。 感情という生き物は無…

Cahier(渇愛・結婚・永遠性)

*恋愛の情熱ほど、結婚の論理に敵対的なものは他に存在しない。この命題は、様々な現代的誤解に彩られて、なかなか直視されずにいる。多くの人々は、結婚というものは恋愛の延長線上に存在していると素朴に信じ込んで、その素朴な信仰の秘められた実情を疑…

Cahier(新しい言葉・愚昧な凡夫)

*もう直ぐ二歳になる娘が猛烈な勢いで、どんどん新しい言葉を覚えていく。むしゃむしゃと白米を咀嚼するように、鼓膜に触れた単語や言い回しを次々に消化吸収している。そうやって刻々と彼女の瞳に映じる世界の風景は、新鮮な側面を万華鏡のように切り替え…

Cahier(蠍座・支配力・不都合な真実)

*たまに、所謂「星占い」という奴をスマホで検索して眺めてみたりすることがある。大抵、そういうときは、自分の身の上に何か入り組んだ問題が生じて、巧く方針を定められずに思い悩んでいるのが通例である。自分の頭では適切に答えを導き出せないものだか…

Cahier(三島由紀夫「禁色」・恋情・倫理)

*昨年の暮れから読み始めた三島由紀夫の『禁色』(新潮文庫)だが、丁度仕事の最も立て込む時期に重なった所為もあって、なかなかページを繰る手が捗らない。決してつまらない訳ではなく、底意地の悪い心理的解剖が丁寧に積み上げられて面白いのだが、やは…