サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

「結婚」願望の若年化(共同体への帰属を求める欲望)

地縁や血縁という問題は、近代化や都市化、情報化が亢進するに連れて意義を失い、薄れていくという考え方は、一見すると尤もらしい。それは近代的な個我の確立のプロセスであり、外在的な規制に縛られることなく、あるべき理想を追求する進取的な生存の形態…

痛ましい愛情の形 椎名林檎「ギブス」

以前に「音楽」というカテゴリーを自ら設けておきながら、一向にそのジャンルに関する記事を作成してこなかったので、偶には趣向を変えて椎名林檎の楽曲に就いて書いてみる。 椎名林檎の「ギブス」が発表されたのは、確か私が中学生の頃で、その金属的な音色…

核軍縮への困難な道程(テクノロジーの暴政)

昨日、アメリカのバラク・オバマ大統領が広島の平和記念公園を訪れ、原爆投下によって惨たらしい死を遂げた人々を追悼する内容の演説を行なった。現職の合衆国大統領が広島を訪問するのは史上初めての出来事であり、メディアでも大々的に取り上げられ、諸外…

「原罪」の齎す平等性の思想(「宗教的なもの」をめぐって)

私の父方の家は浄土真宗、母方は真言宗で、何れも名目的には仏教徒ということになるが、私自身は信仰心というものがほぼ皆無である。母親は宗教的な事柄には全く無関心で、自分の芸術的な趣味に興じることに専念している。一方、父親は定年退職を迎えてから…

「正しい意見」よりも「自分の意見」を語ることの倫理性

こうしてブログに投稿する記事に限らず、何らかの事物に関して私見を書き綴るとき、決して高慢に思い上がっている訳でもないのに、知らず知らず私は「自分の意見」よりも「正しい意見」を書き連ねようと試みている己に気付くことがある。無論、ブログの記事…

夏目漱石とハーマン・メルヴィル(小説の過剰な「饒舌さ」が抵抗するもの)

最近、19世紀アメリカの作家メルヴィルの「白鯨」(岩波文庫・八木敏雄訳)を少しずつ読んでいる。無学な私は原語では読めないので、精確なことは判断しかねるのだが、この翻訳はとても活き活きしていて、原文の息吹を忠実に、生々しく読者に伝える為に極…

海外文学の異郷性

「異郷性」という言葉は、恐らく世間一般に流通している日本語の辞書の中には記載されていない単語である。何故なら、私がこの文章を著すに当たって適当に拵えた造語であるからだ。造語と呼べるほど画期的な意味の豊かさを備えている訳ではないが、一般的な…

近未来・スチームパンク・異なるものを結び合わせること

所謂「SF」というジャンルに関する私の知識は極めて貧相な代物である。ウェルズ、ブラッドベリ、ハインライン、アシモフ、クラーク、ヴォネガットといった御歴々の輝かしい名声だけは聞き齧ったことがあるが、その実作に触れた経験は殆ど皆無と言って差し支…

「根本的解決」というラディカルな教義

仕事をしていても、或いは世間を騒然とさせる深刻で猟奇的な事件に関しても、この国の行く末を左右しかねない重大な社会的問題に関しても、問題を解決する場合には「抜本的な対策」という魔術めいた代物が要求されるのは、世の習いである。上っ面の部分だけ…

「小説家」という特殊な実存の形態(ル=グウィンの随筆に導かれて)

先日、アメリカの有名な小説家アーシュラ・K・ル=グウィンの随筆集(評論集?)である「夜の言葉」(岩波現代文庫)を読んでいたら、次のような文章と邂逅した。 ところで、ある小説作品中にミセス・ブラウンが存在するかしないかを測るのに、きわめて有効…

幕張からの近況報告

転居の都合で5月22日までパソコンのインターネットが繋がらないため、ブログの更新を暫く休んでいる。こんな拙いブログでも、熱心に読んでくださる方がいらっしゃるので、更新を怠ったまま放置し続けるのも失礼かと思い、近況報告を綴っておきたい。 ①4…