サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

詩作 「雨」

雨が降っていました 秋は徐々に冬へと近づいていく 窓際に置かれた花瓶のなかで 名前の分からない花がしずかに萎れていく 今夜はひどく冷える 秋の音階が冬の短調のなかへ融けていくように 買ったばかりの焦茶色のベルトの腕時計が 時間を刻む小さな音が聞こ…

詩作 「心拍数」

いつものように しゃべっていた 仕事終わりの 夜の休憩室で 古いテレビから 足摺岬を蹂躙する台風十号のニュース 暴風域は おそろしく広い だけど別に関係ないよな 膝を組んでタバコを吸ってた 缶コーヒーはもう温くなっている なにかしゃべっていて なにか…

Cahier(結婚の社会的機能)

*「結婚」という法的な選択肢を自らの人生に引き受けることの個人史的な背景や経緯は、実に様々である。往々にして、現代の日本人は「結婚」を「恋愛」の幸福な結論として捉える考え方に浸り切っている。それは確かに間違いではないし、「恋愛」から「結婚…

詩作 「SOLID MIND」

夢うつつで生きていた 足もとは いつも宙に浮いていた 想いの強さが 物理的な現実から 私のこころを隔てていたのだ 夏は去り 秋が訪れる 蝉が死に 蟋蟀が啼き始める 慟哭のように おぼれられる限り おぼれていくような恋に その胸の苦しさに どんな必然を信…

詩作 「UNDERGROUND TRACK」

地下のホームで 久々にあなたを見かけた 一年以上経つだろう 人生八十年と仮定すれば 一年の歳月は 一瞬の泡沫にすぎない だけど ひとつの泡が生まれて弾けるほどの 短い季節の循環のなかでも 変わっていくものは ひどく大袈裟に 様変わりしてしまうのだ 記…

詩作 「ADDICTIVE GIRL」

求めることに躍起な 麦わら帽子の少女 波間に揺れるヨットの明るい帆が 難破船の残骸のように ふるえている 苦い薬を飲んだように 少女は険しい目つきで 私の裏切りをなじった なぜ総てを受け容れてくれないのかと なぜ完璧な肯定を与えてくれないのかと 怒…

Cahier(契機と理由・潜在的なものと本質的なもの)

*或る現象が生じたときに、私たちはそれが生じた「きっかけ」や「理由」を探索し、特定しようと試みる場合がある。だが、これらの二つの観念、つまり「契機」と「理由」との間には、極めて抽象的な次元において、微妙な相違点を孕んでいるのではないかと考…

Cahier(愛情・依存・貢献)

*愛情と依存は本質的に異なった感情である筈だが、私たちは極めて容易に両者を混同してしまうし、感情だけの次元に脚光を浴びせてみれば、それほど決定的な差異が介在しているようには見えないのも事実である。 人間は生きていく上で実に様々な対象に向かっ…

詩作 「千年」

孤独が孤独であるためには 生傷が必要です 千年も生きれば どんな傷口にも慣れるでしょうが それでもやはり哀しいものです 愛するものが消えてしまう刹那の 薄暗い光の軌跡は 果てしない時空を隔てて 想いはいつまでも空回り 眠れぬ夜を抜けた先で 夜明けの…

詩作 「FATE」

声が聴こえない部屋で 黒い哀しみにおぼれていた 感傷は私たちの骨を着実に腐らせる 出逢うことと 別れることのあいだに 身を沈めて 私たちの生活は 冷たい波に洗われつづける あなたの古い写真 まぶしく輝く初夏の風景 心変わりを思い返す痛み せつなさ 運…

詩作 「SCORPIO」

毒針で刺すぞ 痛みは激しいぞ 動けなくなって 白骨になっちまうぞ 裏切りは許さないぞ 愛されるということは 感情の債務をしょいこむということだ お前は俺に借りがあるはずだ 借りたものはかならず返せと 親や世間から習ったはずだよな? お前のために俺は…

詩作 「INTIMACY」

部屋を選ぶ(画面だけでは差が分かりづらい) 値段を確かめる(休前日は値上がりする) 愛し合うために 長い夜の深みのなかで 互いの存在を確かめる 腕耳朶指先腋臍肌唇項涙髪性器陰毛 息苦しさも愛しさの一環だ 他の部屋でも同じ行為が営まれている 土曜日…

詩作 「公民の時間」

手を挙げる 性欲が高まる 教科書のページが風にめくれる あなたの肩のフリルが 夏の光のなかで揺れる 私たちの知らない世界は この道の先にたくさんある 手を伸ばす 呼吸が弾む あなたの唇が 滑らかにひらかれる 濡れた音をたてて さびしいから好きになるの…

詩作 「SOMEWHERE」

始まりはただ 秋の平凡な一日で 夕映えは ふだんと変わらぬ壮麗な茜色 坂道をくだる自転車の軋みが 二人の時間の 伴奏でした あのころ いわゆる青春と呼ばれる時代を過ぎたあとでも 働くことが日常のまんなかを貫くようになったあとでも 私たちはきっと 自由…

詩作 「そしてまた春が訪れる」

凍りつくような冬の風が 寝静まった車道を走りぬける 終わってしまった関係を いつまでも語り続けるのは愚かだと 酔った友人はグラス片手に諭す 終わりとは何か 始まりとは何か 永遠とは何か 壊れやすいこころで 生きていくためには何が必要か 春が来るまで …

詩作 「CERTAIN」

時間が流れ 季節が巡り 落ち葉のように記憶は積もり 絆はさまざまな場面で 伸び縮みを繰り返す 古い歌が聴こえれば 急に私たちは過去へ連れ去られる 時計の針が 逆行を始める 眩しかった風景が眼裏に 美しい彩色で再現される 何の役にも立たないはずの 過ぎ…

Cahier(育てる者の責務)

*今期の新入社員が、今月一杯で他の店舗へ異動していく。後任の補充はない。四月に来年度の新入社員たちが配属されてくるまで、堪え忍びなさいという会社からの暗黙の御達しである。毎年の慣行なので、今更狼狽しようとは思わないが、そうした無理な人事異…

「サラダ坊主日記」新年の御挨拶(2018年)

新年明けまして、おめでとうございます。毎度御馴染み、サラダ坊主でございます。今年も何卒宜しく御願い申し上げます。 年末から続いた連勤が漸く終わり、娑婆の空気を吸うように売場から解き放たれて、今日は昼過ぎまで眠っていた。クリスマスと年末年始の…