サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2019-10-04から1日間の記事一覧

物語の「証人 / 承認」 三島由紀夫「三熊野詣」

三島由紀夫の短篇小説「三熊野詣みくまのもうで」(『殉教』新潮文庫)に就いて書く。 この独特で排他的な師弟愛、非対称的な愛情の光景を描き出した小説は、息苦しい関係を精細に掘り出しながらも、稀な性質の抒情を全篇に森閑と湛えて、他所では得難い風味…

美の仮構 三島由紀夫「スタア」

三島由紀夫の短篇小説「スタア」(『殉教』新潮文庫)に就いて書く。 この巧緻な佳品は『殉教』に収録された他の小説と同様に、三島的な主題が極めて鮮明な姿形で象嵌されている。「演劇的時間=日常的時間」及び「夭折=老醜」の対義的構図が、全篇を貫く主…