サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2019-10-07から1日間の記事一覧

Cahier(他者の精神を「読む」こと)

*小説を読みこなすこと、他人の拵えた精妙な綴織つづれおりのような文章を丁寧に読んで、その構造や絡繰からくりを見究めること、その難しさを日々手酷く痛感している。三島由紀夫の厖大な文業を渉猟する旅路に出掛けて早くも二年近い日月が経つが、理解は…

絢爛たる美的本質への回帰 三島由紀夫「孔雀」

三島由紀夫の短篇小説「孔雀」(『殉教』新潮文庫)に就いて書く。 作中で描かれる、美しいものを破壊しようとする奇態で危険な衝動は、即座に我々の記憶の裡に傑作「金閣寺」の面影を甦らせるだろう。 俗人の感情としては、美しいものは寧ろ厳密に保存され…