サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

詩作 「わかれる」

爪を立てて 引っ掻いたように いつまでも消えない幾つかの傷 血の滲む 夕映えの空の下 わたしもあなたも暮れていく道の上に佇んでいました 影法師が長くのびていく その音が聞こえそうで 耳を澄ましてみたら あなたの心は 別れることしか望んでいなかった さ…

詩作 「すべて壊れてしまいました」

すべて壊れて しまいました 嘗て確かにそこにあると信じられたものたち ときを選ばず 息衝いていた様々な感情の雫が 知らぬ間に乾き切っていました あなたの笑顔の写真が ひび割れ 古びていきます 時の暴力に わたしもあなたも逆らえない 時計の針が ゆっく…

詩作 「あなたが」

あなたが遠くを眺めるとき 青い焔のような海が揺れる あなたが瞼を閉ざすとき 紅い夕闇が静かに迫る あなたが声を立てて笑うとき 強張っていた世界が溶ける あなたが怒りに身を任すとき 張り巡らされた嘘が 焼け落ちる あなたが眠れぬ夜を過ごすとき わたし…

詩歌という経験

私が初めて詩歌らしきものを書いたのは、小学校の国語の授業で詩を書くという課題を与えられたときであり、ノートに幾つも詩を書いて教室で発表することに名状し難い愉悦を感じたことを、今でも懐かしく思い出せる。無論、今から振り返れば随分と稚拙なもの…

愚直の幸福 武者小路実篤「人生論・愛について」(新潮文庫)

中学生の頃、私は自分の人生に就いて、深刻に思い悩む日々を過ごしていた。 今になって顧みれば、何をそんなに重苦しく考え込んでいたのか、その入り組んだ経緯を明晰に想い起こすことは不可能に等しい。今でもこの掌に残っているのは、記憶の漠然とした陰翳…

言葉を汲み上げる日々

明日は朝から晩まで仕事なので、今日は手短に書いておく。 これと言って明確に書きたいことが思い浮かんだ訳でもないのに、こうやって記事を書き起こすのは、こうした作業に関心のない人にとっては変態の所業と感じられるに違いない。別に芸能人でも作家でも…

峻烈な風景と、私が育てられた場所

生きることは振り返ることであり、思い出すことでもある。言い方を換えれば、生きることは思い出すことに似ている。自分がどういう経路を辿って、現在の場所まで辿り着いたのか、それを改めて顧みることは、私の心に不思議な感興を与える。 今日、売場へ会社…

選ぶこと、迷うこと、信じること

連日、転職活動への決意を語り続けておきながら、この期に及んで、迷いが生じている。我ながら情けない限りだが、心が揺らいでいることは事実なので、恥を忍んでありのままに書こうと思う。 今日は会議だった。退職の件に就いて、直属の上司が、更に自分の上…

それは私の望む道ではない

夕刻、携帯を開いたら(今どき、携帯を「開く」とは言わないと、以前、妻に笑われたことを思いだす)、先週面接を受けた人材派遣の会社から、不採用を告げる所謂「お祈りメール」が届いていた。 saladboze.hatenablog.com 現在の会社に入って十年が経ち、ア…

競馬と莨と、少年の夏

仕事を終えて十時過ぎに家に帰り着き、偶々テレビのチャンネルを回したら(今どきダイヤル式のテレビなんて存在しないし、一定の年齢層から下の人々は、チャンネルを「回す」とは言わないのだろうか)、凱旋門賞の中継を流していた。今年の日本ダービーを勝…

貴方は、その仕事を愛してますか

会社の直属の上司に、改めて退職の意思を告げた。 内定を確保した訳ではないが、年末の繁忙期に向けて、小売の現場は俄かに忙しくなる。十二月に入り、冬の賞与が支給され、歳暮やクリスマスプレゼントを購入する顧客が百貨店のフロアに濫れ始める頃になれば…

自由でありたいと願うのは、幼稚だろうか

「自由」という言葉の定義は難しい。「自由」という言葉を巡る議論は、何百年もの間、延々と続けられてきたに違いない。誰もが、手軽に「自由」と口にする。だが、多くの人は「自由」の姿をきちんと目の当たりにしたことさえない。 元々、西洋から発祥した「…