サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「男根銃」

拾ったピストルは
青葉の香りがして
俺たちは放課後の制服のネクタイをゆるめて
水遊び
あの公園のベンチで
アイスキャンディーをほおばる三人の女の子にも
たとえば生理の遅れという悩みがある
太陽はぎらぎらと照り映えて
この夏の歌声は空を衝き破る
ねえ あの人とはどうなったの
どんな感じで こないだは別れたの
あの店って照明くらくない?
でも雰囲気最高だよね
この国は今日も吐き気がするくらいに平和で
君は今ごろ図書館で調べ物でもしているのかな
世界の終わりが迫っていても
素知らぬ顔で シャーペンの芯を替える
ノートは端から端まで清潔に伸びきっている
しわひとつない純白のシャツのように
世界の終わりが近づいていると
さっきニュースキャスターが血相を変えていたのに

ショットガンの放埓
俺たちはいつも野性のとりこ
かわいい女の子が薄着で街を練り歩く
夏の光は芝生まで透き通らせる
むせかえる夏の風 汗ばんだ肌
あの娘の下着は薄桃色だった
レース? いや、なんだかスポーティーなやつだったよ
失望させられた気分で自転車のスタンドを跳ね上げる
もうすぐ夏休みだから
試験勉強がつらくても別に悪い気分はしないね
でも君は今ごろ
あの涼しい図書館の閲覧席で
なにかしらペンを走らせているんだろう
衆議院議席の定数とか
微分方程式のスマートな解き方とか
生きることの
底知れぬバカバカしさとか
だってそうだろう
世界の終わりまで
あと何日もないんだから
君が大学に受かるころには
自衛隊が壁の向こうの巨人に核弾頭を撃ち込んでるさ

アイスをかじって
計算用紙にシトラス果汁の滴をいくつか
名前の漢字を間違えないように
今日は小学校のときの名札を持ってきたのさ
無邪気だったころの魂を鞄につめこんできたのさ
今も昔も変わらない?
だって たかだか六年ぐらいだぜ
大学に進んだら
君はきっと束ねた髪を解くだろう
つやつやした黒髪に
なんか 色んな薬を染み込ませるんだろう
薄い口紅も塗るんだろう
たまにチークが活火山みたいに濃くなっちゃうんだろう
それもこれも若さの特権で
それは世界が終わらないことを知ってる連中には
真似のできない死化粧なのさ