サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「安房鴨川」

間断なく
打ち寄せる波の
白い縁
私たちの眠らない夜更け
押し寄せる波音の重なり合った
鈍重な呻き声
私たちの満ち足りない睡眠と
水平線の
暗闇の彼方
ちらちらと揺れ動く
漁船の灯り
真夜中の海原で彼らは獲物を探している
獲物を探して
光の渦を ばらまいている
私たちは月明かりと波音の果てしない反復のなかで
息を潜めているのだ
私たちは生きている それは確かな事実である
だが
私たちの許されない 遠浅の眠り
漁船の灯りは
満天の星屑と
闇のふところで互いに溶け合って
区別がつかない
宇宙の境界線が破れて
星空が暗い海に流れ込んだように
星の光と船の灯りが
入り混じった水平線の風景
私たちの満たされざる睡眠欲
私たちの
終わりなき宿命の靴音