サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「波止場」

せめぎ合う
命の連なりが
少しだけ亀裂を
走らせた午後
波止場から眺める
商船の横腹
私たちは奏でている
何を?

海辺には
複数の種類の鳥たちが舞っている。
私たちの絶え間ない 退屈な午後の光
貴方が去ってから数週間が経った
瓶詰の手紙が
波間に揺れていると知らされたので
こうして波止場まで
一散に駈けてきたのだ

お前たちは罪深い
地獄の奥底から せりあがるように
涙も声も途絶えた 暗がりと深みで
久々の再会を祝す
罪深い指先で インクを滴らせる
お前たちは罪深い生き物だ
空には稲妻が爆ぜているようだ

楽隊が遠ざかる
西の空に茜色の波が射す
私たちは連れ立って帰り道を探す
ペストが猖獗を極めるオランの夕暮れ
私たちは時折
まぶたを裏返してみるのだ