サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

詩作 「INFINITE」

声が嗄れていた

言葉にならない感情が

次から次へと

押し寄せるので

波打ち際に立つ二人の背中は揺らいでいる

陽炎のなかで果てていく恋心の

粗末な墓標

もう一度愛しあいたい

だけど愛するという言葉の定義は保留のままで

 

幸せになれるか分からない

だって未来はいつも蜃気楼の彼方に隠れているから

目先の充実が

軽気球のように頼りないことはもう知っている

暗がりで互いのカラダを貪った記憶も

リネン室の扉の向こうで

体液とともに念入りに洗い流されるだろう

私は苦いタバコにおぼれる

あなたの不在は

私の心に襲いかかった深刻な旱魃だった

あなたがいなくなってから

私は他の誰かを好きになろうと努力したけれど

それは常に茶番めいていた

私の心は奪い取られたままだったから

あなたの明るい笑顔に

私の心は誘拐されたままだったから

帰り道の分からなくなった心に

信号機の青い光は映らない

 

世界がゆっくりと回っている音

時間が正常に流れていく音

淋しくても壊れないココロ

あなたのいない部屋

私の知らない場所で

今なにを考えているのだろう

私の知らない夢を眺めて

時間の流れのなかで

浮き沈みを繰り返しているのだろうか

柔らかい鼓動に支えられたあなたのカラダを

私は確かに覚えているというのに

 

依存してはならない

想い焦がれてはならない

静かに閉て切った部屋のなかで

息を殺すように

私は心臓の高鳴りを殺している

捧げた大切な日々

繰り返される過ち

あなたの名前

 

いつか雨が上がるように

空に架かる虹のように

あなたの笑顔を確かめられたなら

いつか闇が暁に融けるように

この想いから解き放たれたなら