サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

2016-01-01から1年間の記事一覧

詩作 「居心地」

そりゃあ重要ですよ 居心地は 家具屋の店員みたいに 男は言った 去っていった女の 猫背のシルエットが 眼裏で笑いさざめく 居心地が悪くて 家を出た女の 行方を尋ねる気力は もうどこにも残っていない 居心地を良くするための努力を あなたは怠っていたんで…

詩作 「さよなら、渚」

潮風が遠くから 帆を立てて近づいてくる 砂浜に白く煙る複数形の記憶、男女 波打ち際の静かな日かげで 手を振りました けんめいに もう最後だし 夏は 急速に終わりを迎える 陽炎がアスファルトに揺れて 買ったばかりのアイスキャンディが 汗ばんで溶けて 水…

詩作 「わかれる」

爪を立てて 引っ掻いたように いつまでも消えない幾つかの傷 血の滲む 夕映えの空の下 わたしもあなたも暮れていく道の上に佇んでいました 影法師が長くのびていく その音が聞こえそうで 耳を澄ましてみたら あなたの心は 別れることしか望んでいなかった さ…

詩作 「すべて壊れてしまいました」

すべて壊れて しまいました 嘗て確かにそこにあると信じられたものたち ときを選ばず 息衝いていた様々な感情の雫が 知らぬ間に乾き切っていました あなたの笑顔の写真が ひび割れ 古びていきます 時の暴力に わたしもあなたも逆らえない 時計の針が ゆっく…

詩作 「あなたが」

あなたが遠くを眺めるとき 青い焔のような海が揺れる あなたが瞼を閉ざすとき 紅い夕闇が静かに迫る あなたが声を立てて笑うとき 強張っていた世界が溶ける あなたが怒りに身を任すとき 張り巡らされた嘘が 焼け落ちる あなたが眠れぬ夜を過ごすとき わたし…

詩歌という経験

私が初めて詩歌らしきものを書いたのは、小学校の国語の授業で詩を書くという課題を与えられたときであり、ノートに幾つも詩を書いて教室で発表することに名状し難い愉悦を感じたことを、今でも懐かしく思い出せる。無論、今から振り返れば随分と稚拙なもの…

愚直の幸福 武者小路実篤「人生論・愛について」(新潮文庫)

中学生の頃、私は自分の人生に就いて、深刻に思い悩む日々を過ごしていた。 今になって顧みれば、何をそんなに重苦しく考え込んでいたのか、その入り組んだ経緯を明晰に想い起こすことは不可能に等しい。今でもこの掌に残っているのは、記憶の漠然とした陰翳…

言葉を汲み上げる日々

明日は朝から晩まで仕事なので、今日は手短に書いておく。 これと言って明確に書きたいことが思い浮かんだ訳でもないのに、こうやって記事を書き起こすのは、こうした作業に関心のない人にとっては変態の所業と感じられるに違いない。別に芸能人でも作家でも…

峻烈な風景と、私が育てられた場所

生きることは振り返ることであり、思い出すことでもある。言い方を換えれば、生きることは思い出すことに似ている。自分がどういう経路を辿って、現在の場所まで辿り着いたのか、それを改めて顧みることは、私の心に不思議な感興を与える。 今日、売場へ会社…

選ぶこと、迷うこと、信じること

連日、転職活動への決意を語り続けておきながら、この期に及んで、迷いが生じている。我ながら情けない限りだが、心が揺らいでいることは事実なので、恥を忍んでありのままに書こうと思う。 今日は会議だった。退職の件に就いて、直属の上司が、更に自分の上…

それは私の望む道ではない

夕刻、携帯を開いたら(今どき、携帯を「開く」とは言わないと、以前、妻に笑われたことを思いだす)、先週面接を受けた人材派遣の会社から、不採用を告げる所謂「お祈りメール」が届いていた。 saladboze.hatenablog.com 現在の会社に入って十年が経ち、ア…

競馬と莨と、少年の夏

仕事を終えて十時過ぎに家に帰り着き、偶々テレビのチャンネルを回したら(今どきダイヤル式のテレビなんて存在しないし、一定の年齢層から下の人々は、チャンネルを「回す」とは言わないのだろうか)、凱旋門賞の中継を流していた。今年の日本ダービーを勝…

貴方は、その仕事を愛してますか

会社の直属の上司に、改めて退職の意思を告げた。 内定を確保した訳ではないが、年末の繁忙期に向けて、小売の現場は俄かに忙しくなる。十二月に入り、冬の賞与が支給され、歳暮やクリスマスプレゼントを購入する顧客が百貨店のフロアに濫れ始める頃になれば…

自由でありたいと願うのは、幼稚だろうか

「自由」という言葉の定義は難しい。「自由」という言葉を巡る議論は、何百年もの間、延々と続けられてきたに違いない。誰もが、手軽に「自由」と口にする。だが、多くの人は「自由」の姿をきちんと目の当たりにしたことさえない。 元々、西洋から発祥した「…

百年先も、古びない言葉を

言葉は、時々刻々と古びていく宿命を背負っている。或いは、言葉は「ナマモノ」であると言い換えることも出来る。単純に語彙や文法が古びて、時代の一般的な通念に合わなくなっていくだけではない。その言葉が発せられた当時には意味のあったことでも、時代…

本当の言葉、転職の現実

昨夜の記事に書いた通り、今日は面接を二社受けてきた。 saladboze.hatenablog.com どちらも人材派遣、職業紹介などの事業を展開する会社で、私はキャリアコンサルタントという職種に応募した。名前は仰々しいが、要するに営業である。 昨夜、仕事の帰り道、…

「転職」の根底にある想い

今日は終日、会議だった。私の職種は小売業の尖兵なので、日頃は店舗に通勤するのだが、月に三回ほど、東京の事務所へ会議に出掛けていく。売上や収益に関する対策の立案や、商品計画や労務管理やら、会社の方針説明やら、その他の細々とした雑用も含めて、…

会社が私を縛るのではない。私が私を縛っているのだ。

「自縄自縛」という言葉がある。文字通り、自分で自分を縛るという意味だ。 自分の本心を掘り下げて、今まで余り直視した例のない暗がりにまで鼻面を突っ込んで、深く覗き込んでみようと努めるのだけれど、自分で自分の躰を抓るときのように、どうしても手加…

「妻」と呼ばれる人々

世の中には色々な役割があり、誰しも社会、或いは世界という大きな天蓋の下で、何らかの地位を占めながら生きている以上は、そうした役割の仮面やら鎧やらに縛られる宿命からは逃れられない。夫婦というのも役割の一種で、私たちの社会の礎になる、微小な単…

限られた時間の中で生きること

連日、転職を巡る諸問題が私の頭を悩ませている。そう書くと、酷く苦しんだり憔悴したりしているように聞こえるかも知れないが、思い詰めてはいない。ただ、考えなければならないこと、改めて検討しておかなければならないこと、それらが泡沫のように次々と…

「情」の問題

引き続き、私の人生において目下、最重要の問題である「転職活動」を通じて考えたことを徒然と書き綴ることにする。 直属の上司に退職の意思を打ち明けたところ、上には報告せずにおくから考え直せと言われ、数日が経過した。今でも退職、転職という基本的な…

「現場主義」という魔法の言葉

小売業界に限らず、店舗と本部、支店と本店、工場と本社といった組織の区分は、企業の体制としては珍しいものではない。いや、企業だけに留まらず、どんな組織でも、実際に活動する拠点と、各地に点在する拠点を統括する中枢的存在というのは、一定の規模を…

「理想」を持つことの意義

今日、転職の為の面接を受けに、久方振りに横浜方面まで足を延ばした。 そこは個別指導の学習塾を展開している企業で、色々と面接官の方に質問を投げ掛けてみた。どんなことでも訊ねてくれ、総て正直に答えるからと大見得を切るので、私は気になったことを幾…

あの曲がり角の向こうには、どんな景色が広がっているのだろうか?

自分の想いを掘り下げることの重要性について、考える日々が続いている。彼是と雑多なことを書き散らす習慣は、このブログを始める以前から十年以上も続いている。十代の頃は、もっと訳の分からない個人的な走り書きのようなものを、ノートに書き溜めていた…

それまで存在しなかった「世界」を切り拓く為の苦闘

転職を志すに当たって、自分自身の本心を振り返り、その内側、その奥底に底流している感情や思念を探り出そうと、連日こうして文章を書き殴っている。書き進めるうちに、少しずつ見えてくるものもあれば、余計に深みに嵌まり込んで真実が遠退いてしまうよう…

社会と直接つながる生き方はできないだろうか?

前回の記事に通じる内容を書く。 saladboze.hatenablog.com 大学を卒業し、企業などの法人に就職して、与えられた役割を全うすることで生活の保障を得る。こうした仕組みは、私たちの暮らす社会においては極めて強固で堅牢な「型枠」として存在し、機能して…

転職すれば世界が変わるだろうという思い込み VS 転職したって世界は変わらないだろうという思い込み

転職すれば世界が変わるだろうという思い込みは、今の仕事に、或いは直接仕事に関わらずとも自分の現状に不満がある場合に、恩寵のように降臨する美しい幻想であろう。転職という言葉に固執せずとも、環境を変えることで今の自分から脱皮出来る、今まで出来…

言葉の瞬発力・機動力・柔軟性

saladboze.hatenablog.com 先日、上記の記事で「ですます調」の文体で書く決意を表明したばかりなのに、早くも「ですます調」で書くことに歯痒さのようなものを感じ始めて、困っている。困っていると言い出した傍から、こうして「ですます調」を抛棄している…

或る組織の内側でしか通用しない「価値観」

どうも今晩は、サラダ坊主です。 最近、転職活動を始めました。 今の会社には、二十歳のときから十年も御世話になっており、愛着もあるのですが、自分の心の中でどんどん、この会社で働くことへの意欲が失われつつあるのです。その理由は複合的なもので、簡…

書くことで、人の「想い」に触れる

どうも今晩は、サラダ坊主です。 数日間、更新を怠っておりました。 最近、これから自分はどういう人生を送っていきたいのか、或いは送っていきたいと思っているのか、そういうアイデンティティに関わる問題に就いて、考え込む日々が続いています。 これはな…