サラダ坊主日記

「この味がいいね」と君が言ったのはお世辞だったねサラダ記念日

文化・芸術・娯楽

「よそゆき」の言葉 / 「普段着」の言葉 個人的な文体について

昨年の八月下旬にこの「サラダ坊主日記」というブログを開設して以来、私はずっと「ですます調」の文体で記事を書いてきた。特別に深い理由があった訳ではなく、ブログというメディアを生まれて初めて運営するに当たって、見知らぬ人々に語りかけるのに突慳…

「意味」の向こう側 小説は何故「描写」するのか?

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今晩も何の需要があるのか分からない個人的な文章を書き殴ります。 世の中には無数の「小説」と呼ばれる文章の塊が氾濫しており、それは作者の流儀や気質や主義主張などに応じて実に多様な生態系を構築しています。何と…

堆積する時間の中を生きていく 是枝裕和監督「海街diary」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 2016年、明けましておめでとうございます。 元旦を迎えたばかりの夜更けに徒然と、例によって勝手気ままな雑文を草したいと思います。 昨年、幾つか見た映画の中で一番印象的だったものはどれだろうと、先日何となく…

長崎に黒い雨が降る 山田洋次監督「母と暮せば」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今夜は山田洋次監督の新作映画「母と暮せば」について書きます。 2015年は敗戦から70周年ということで、戦争に題材を取った映画やドラマ、ドキュメンタリーなどが目立つような気もします。この「母と暮せば」とい…

光と影の叙事詩 「ファイナルファンタジーⅦ」 3 ゲームに「思想」を見出せるとするならば

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 本日は以前に続き物として書き出しておきながら、そのまま完結させずに放置していた記事の続きをアップしようと思います。 saladboze.hatenablog.com saladboze.hatenablog.com 「ファイナルファンタジーⅦ」という作品は…

小説を書くという特殊な作業 「それは何が語っているのか?」

どうもこんにちは、サラダ坊主です。 今日も何の脈絡もなく、思いついたことを書き記したいと思います。 以前にも何度か触れたことがあるのですが、私は昔から個人的な趣味として小説を書いてきました。殆どまともに完結させたこともなく、流産に流産を重ね…

「レイシズム」という宗教 映画「杉原千畝 スギハラチウネ」をめぐって 2

どうもこんにちは、サラダ坊主です。 先日アップしたエントリーの続きを書こうと思います。 saladboze.hatenablog.com ヘブライ人の民族的共同体における宗教的信仰として形成されたと思しきユダヤ教は、ナザレのイエスという革命的な改革者によってキリスト…

「レイシズム」という宗教 映画「杉原千畝 スギハラチウネ」をめぐって 1

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 先日、船橋のららぽーとで最近公開された唐沢寿明主演の映画「杉原千畝 スギハラチウネ」を鑑賞してまいりました。第二次世界大戦中の東欧リトアニアを舞台に、ナチスドイツから民族浄化の対象に選ばれ、行き場を失った…

「同胞」という快楽 「幻想水滸伝Ⅱ」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 本日は久しぶりにテレビゲームについての記事を書きます。 コナミから1998年12月に発売されたプレイステーション用RPG「幻想水滸伝Ⅱ」は、私が今まで楽しんできたゲームの中でも五本の指に入る名作です。 架空…

「異界転生」という普遍的な類型について

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 ネット上では頻繁に指摘されている事柄ですが、「小説家になろう」という超巨大小説投稿サイトのランキング上位を占めている人気作品の数々は、その大半が「異世界への転生」という物語のフォーマットを採用しています。…

幽閉された「悪意」の増殖 映画「ソロモンの偽証」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 本日は、これも若干旧聞に属する作品ですが、映画「ソロモンの偽証」について思うところを述べたいと思います。 この作品は宮部みゆきの小説を原作としており、劇場用実写映画は「前篇・事件」と「後篇・裁判」の二部作…

「ノベル(小説)」と「ロマンス(物語)」の背反に就いて

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今回も随分と抽象的なテーマを扱うことになります。辛抱してお付き合い頂けると幸いです。 私は個人的な趣味として昔から小説を書いているのですが、当然のことながら「小説」というのは、そう簡単に書けるものではあり…

表現の自由という、名状し難い「困難」 映画「図書館戦争 -THE LAST MISSION-」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 本日は、やや旧聞に属するテーマかも知れませんが、10月10日に公開されて大ヒットを記録している実写映画「図書館戦争」の続編について書きたいと思います。 内容としては前作同様、有川浩の原作小説から大きく逸脱…

「幽霊」の政治学 映画「桐島、部活やめるってよ」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今夜は2011年に公開された映画「桐島、部活やめるってよ」について書きます。 この作品は元々、朝井リョウの書いた小説が原作ですが、映画化された作品は原作のニュアンスを残しつつも、遥かに上質な芸術作品へ昇華…

「洗練」という名の停滞

どうもこんばんは、船橋在住のサラダ坊主です。 今夜も何の結論もないことを徒然と書き綴ります。 どんな領域にも共通して言えることですが、或る新しい分野が誰かの独創的な努力によって開拓されたとき、そこには無限の可能性が広がっていると同時に、無限…

暴力と哀傷 北野武「HANAーBI」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 長い間更新を怠っておりました。申し訳ありません。 今日は北野武監督の「HANA-BI」という映画について書きます。 御存知の通り、北野監督はツービートという漫才コンビから出発して、今では世界的な映画監督の一…

「森」の論理と「ヒト」の論理 宮崎駿「もののけ姫」

どうも皆様こんにちは。サラダ坊主です。 日本が誇るアニメーションクリエーターとして国際的な知名度を持つ宮崎駿氏が「風立ちぬ」を最後に現役を退いてから、早くも2年以上の月日が流れました。 「となりのトトロ」や「魔女の宅急便」という牧歌的な作品…

映画におけるストイシズム / 「原作」という呪わしき理念

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 ここ数年、私は劇場へ足を運んで映画を見ることが多くなりました。映画というのは本来「映画館」で鑑賞されることを想定して作られているので、テレビやDVDで見ると、今一つ物足りなく感じることがあります。何より、…

「絵」で「物語」を表現するということ 井上雄彦「スラムダンク」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今夜は言わずと知れた国民的大ヒットマンガ「スラムダンク」(累計売上部数は国内のみでも1億2000万部を優に突破しています)について書きます。 既に無数の読者が熱い思いをこめて、この作品に言及しておられると…

光と影の叙事詩 「ファイナルファンタジーⅦ」 2 ゲーム性を損なうほどのグラフィック志向

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 昨日のエントリーの続きを書きます。 長い長い前置きで終わってしまったのですが、それを踏み台として「FFⅦ」について思うところを書かせていただきます。 私は「FFⅦ」を傑作と信じて疑わないのですが、それはこの作…

光と影の叙事詩 「ファイナルファンタジーⅦ」 1 「映画的なもの」への志向性

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 世の中には、様々な芸術的ジャンルというものがあります。 小説、詩歌、映画、演劇、舞踏、音楽、絵画、彫刻、その他、計え上げれば実にキリがありません。これらのジャンルはそれぞれ、独自の歴史的経緯を経て、現在の…

詩歌の断片性(「意味」と「無意味」の拮抗)

どうもこんにちは、サラダ坊主です。 突然ですが、皆さんは所謂「詩歌」というものを読んだり書いたりしたことはありますか? 国語の授業で作らされたという方もいらっしゃるでしょうし、趣味として短歌や俳句を作って結社などで見せ合ったり、ネット上で交…

「過去の罪悪」は乗り超えられるのか 和月伸宏「るろうに剣心」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今日は言わずと知れた傑作マンガ「るろうに剣心」について書きます。 幕末から明治初頭にかけての日本を舞台にした剣豪チャンバラマンガで、未だに根強い支持を受けている作品です。この作品はいかにも少年マンガ的な格…

書くことは「断層」から生まれる

どうもサラダ坊主です。 私は小学校ぐらいのときから文章を書くことが好きで、ちまちまと雑文を書き散らして参りました。ジャンルは様々で、シャーロック・ホームズや江戸川乱歩の「少年探偵団」を模倣した推理小説を試みたり、宇宙を舞台にした壮大なSF(…

「世界」ではなく「社会」のために戦え ゆうきまさみ「機動警察パトレイバー」

どうもこんばんは、サラダ坊主です。 今日は私が最も愛するマンガと言っても過言ではない、ゆうきまさみの「機動警察パトレイバー」について語りたいと思います。 この作品はメディアミックスの先駆け的な作品で、マンガ、テレビアニメ、OVA、劇場版アニ…

小説を読むということについて / 存在しないものの回想

どうもこんにちは、サラダ坊主です。 茨城県や栃木県で大規模な水害が発生したのが嘘のように、千葉は晴れ渡っていい天気ですね。 先日立て続けに「村上春樹論」と「坂口安吾論」という割とハードな内容のエントリーをアップしたので、今日はもうちょっと気…

「彼氏彼女の事情」についての補足

寝ぼけまなこのサラダ坊主です。 先ほどアップした「彼氏彼女の事情」について、途中までしか読んでいない理由を書きそびれたので補足します。 この作品は、男性の主人公である有馬総一郎が、親から受けた虐待の記憶から解き放たれることで、物語の一つのピ…

世界は「コトバ」と「ココロ」で出来ている。 津田雅美「彼氏彼女の事情」について

どうもこんばんは、サラダ坊主です。一日の労働を終えた後の束の間の休息の時間を使って、今夜も更新させていただこうと思います。 昨日は「自分の好きなものについて書く」という趣旨の下に、少し古臭いテーマではありましたが「坂口安吾」を取り上げました…

「バケモノの子」は本当にバケモノだったのか(中途半端なパラレルワールド構成)

どうもサラダ坊主です。 めっきり涼しくなってきて、夏の断末魔のような蝉の声ももうすぐ衰えていくと思うと、嬉しいですね。ええ、夏には何の恩も義理もありません。一刻も早く過ぎ去ればいいのにと思うばかりの、晩夏の午下がり。 ブログ開設時に「映画」…

開設した以上は、なにか書かねばなるまい。

どうもこんばんは。 開設の挨拶を終えたのでパソコンを閉じて風呂へ入ろうと思ったのですが、記事が一本しかないブログというのは何だか空家みたいで物哀しいので、仲間を作ってやろうと思い、記事を書くことを決意しました。やはり、兄弟を作ってやるのも寛…